2022-01-01から1年間の記事一覧

ヴェネツィア共和国のドージェについて

前々から気になっていたビザンツ研究者渡辺金一氏の『海の都の物語』についての書評を読んだ*1。そこにこう書かれていた。 塩野さんが元首という訳語をあてているドージェとは、語源的にみれば、ラテン語のドゥクスのイタリア語化した言葉、つまり、本来は、…

『喜嶋先生の静かな世界』と「キシマ先生の静かな生活」のあいだ

森博嗣『喜嶋先生の静かな世界』が刊行されたの知った時、似たようなタイトルの短編を読んだことがあったので、『僕は秋子に借りがある』のように再編された短編集の表題作だと思っていた。それは短編集『まどろみ消去』に所収されている「キシマ先生の静か…

A・P・カジュダンのビザンツ観

この機会に、連続ツイートしたものを編集してブログに挙げてみようと思う*1。 以前ビザンツにおける科学について調べるとき、C. Mango, “Byzantium’s Role in World History” in The Oxford Handbook of Byzantine Studies (Oxford, 2008)を読んだ。そこにソ…

『アレクシアス』中の皇帝の名に因んだ金貨名称について

アンナ・コムニニの『アレクシアス』の中に引用されている二つの外交文書において、2回皇帝の名に因んだ金貨名称が登場する。 一つ目はアレクシオス1世の西の皇帝ハインリヒ4世宛書簡で、ハインリッヒに贈られた貨幣の金額は「細工された銀(イルガズメノス …