科学と社会

STSの方法論はそもそも「科学vs.社会」を前提としている?

*引用文中の句読点は「、」「。」に統一した。 STSの政治論的転回関係の文献を読んでいく中で以下の文章を見つけた。 ここでは、STSの方法論が「科学vs.社会」という概念対を下敷きにしていることだけを確認しておきたい。たとえば藤垣裕子は、STS研究の初…

「リスク・コミュニケーションの参与者の意図は、時に政治的である。」

昨日、平川秀幸氏の以下のツイートを読んだ。 全米研究評議会(NRC)の89年の報告書Improving Risk Communicationより引用:『民主主義における他のコミュニケーションの場合のように、リスクコミュニケーションの参加者の意図は時に政治的である。』(続 ht…

コリンズとピンチはホメオパシーを擁護していたのではないらしい。

id:kumicitさんのブログ『忘却からの帰還』の3月5日付の記事「CSICOPを斬ってたSTS学者」にSTS学者Trevor J PinchとHarry M. Collinsの著書からの引用とkumicitさんによるその日本語訳が載せられていた。 If homeopathy cannot be demonstrated experimental…

杉山滋郎「科学コミュニケーション」(『科学』973号、2005年5月、68‐84頁)を読んで思ったこと

杉山滋郎「科学コミュニケーション」(『科学』973号、2005年5月、68‐84頁)を読んだ。この論考は「欠如モデル」についてかなり紙幅を割いている。その中に「「信頼性の」重要性」という節があり、冒頭で以下のように述べている。 欠如モデルでは科学知識の欠如…

【修正あり】「ボドマー・レポート」のボドマー、「公衆の科学理解」について語る。

「欠如モデル」という言葉は1985年にロイヤル・ソサエティが発行した報告書The Public Understanding of Science*1に端を発するレポートや調査が依拠している「暗黙の仮定」を形容するモデルとして、1991年に出されたいくつかの論文の中で登場したという*2。…